飽和


帰りの電車にて。BALLYの鞄にFENDIの傘、SHIPSのショッピングバッグを抱えた女の人がいた。こんなちぐはぐ女にだけはなりたくないと、思いつつ…。


虚栄や目先のブランドには興味はない。
妥協のない自分なりのセンスをまっとうできれば。
内側に、ほっとするひと時と空間さえあれば。


センスだけで人は生きていけないと、今日65になる父は言った。
けれど私は、いらないものに溢れた今だからこそ、物事を選び抜くセンスで生きる事が重要だと思う。


父の育った戦後はゴミでも拾い集めてなんとか食べて暮らす時代だった。
今はゴミ山から不要なものを排除していく時代だ。
究極のハングリーからここまできた日本。


何をまとうか、何を経験するか、何を磨くか。
それを選ぶ指針のひとつとして、きっと映画や書物があるのだ。


そう思う。